甘くて血塗れ老害の味(ロードス島戦記RPG)

前の土曜日に『ロードス島戦記RPG』*1をやってきました。
今月下旬に行なう、サークルの新人発表会みたいなコンベンションのテストプレイです。GMはぴちぴちです、ぴちぴち……新鮮な魚食べたいなぁ。


まあ、そんな卓に老害担当みたいなカンジで入った僕ですが、ここの所いろいろと大変で心の闇が増大していたことの発散という意味と、自分の中のちっぽけな枠を外してしまおうという目算で、最近お気に入りの小説の影響を受けた厨プレイを敢行してしまおうと決心しましたw
普段は「テストプレイで迷惑プレイヤーをわざわざ演じてセッションが混乱して問題点が分からなくなるよりも、まっとうな(だけど甘くない)プレイでシナリオ・マスタリングをちゃんとチェックすべきだ*2」という観点から、おとなしいプレイをすることを心がけていましたが、今回のGMさんは舞台度胸みたいなものをつけるほうが大事そうなので、たまには暴れてみますよ*3


で、実際のセッションですが、キャラクターがソーサラーで性格はD&Dに例えるなら「ものすごく混沌にして中立?」なカンジだったので、魔法を躊躇なく打ったり、抜け目無く使ったりして、見事なトラブルメーカーになってしまいました。
あと、ルール運用や「こういうことは出来ないのか」という部分でGMを攻める老害部分は他の人にやってもらったので*4w見事な老害セッションが誕生しましたよ。
しかも、ヒロイン?が絡んだキャラのプレイヤーが「女性キャラと絡むくらいなら死を選ぶ(もちろんヒロインの)」という信念の持ち主なので、GMさん、ご愁傷様というカンジでしたw


というわけで、GMには試練のテストプレイでしたが、シナリオの素晴らしさとGMの頑張りと他のPLの血のにじむ努力と、迷惑プレイヤーたちの心の中に(まるでパンドラの箱の底に光る希望のように)ほんの少し残っていた良心のおかげで、セッションはいいカンジに決着しました。
この経験はGMさんにとって有益なものになるでしょう……(遠い目
いや、ホントに、申し訳ない*5orz



シナリオの中身に関してはテストプレイなので詳しくは話せませんが、面白かったです。ホント。
まあ、こちらのキャラクターだけはちょっと晒しておきますね。ぐで。


『Sweet,Bloody Fig(甘くて、血まみれのいちじく)』
ハーフ*6エルフ(取替えっ子) 21歳 女性 ソーサラー
取替えっ子のいちじくは捨てられっ子
無花果の木の下で先生に拾われた
拾われっ子のいちじくは奇妙な子
無花果の実のように中身は不気味
甘い香りのいちじくは血まみれいちじく
中を割ってから驚くな……


学院の教授に拾われたフィグはソーサラーとなるべく育てられたが、彼女の興味は常に自分は何者であるか、他者が何者であるかということばかり。そのためにさまざまなものを(例えその手段が非倫理的なものだとしてもかまわず)調べ、試していく。
彼女が好むのは実験や解剖、そして冒険。
だから学院を飛び出て危険にさらされる冒険者となった。冒険の中にきっと答えがあると信じて、好んで血塗れの道を歩む。それは自分探しの旅、きっと答えが出ない旅……その向こうに、彼女は自分の居場所を見つけ出せるのだろうか?


魔法を使うためには糖分を取らなければならないと主張する超甘党。
もともとは単なるフィグと呼ばれていたけど、かわいくて(魅力14)甘党だからスィートがついて、本性を知ってブラッディがついたとw
ちなみに、装備は愛用の解体用のダガーのみ。そんなクソキャラでしたw
まあ……いちじくという名前のイメージに引き摺られすぎたなぁと、ちょっと反省です。

*1:いわゆる『コンパニオン』。文庫本の方は『ロードス島RPG』

*2:シナリオの穴はセッション後にチェックできるし、コンベ前に初心者GMにトラウマ与えてどうするw

*3:……まあ、普段から「シナリオが壊れないぎりぎりを狙って暴れている」みたいなことは言われていますが……アレは、ちゃんと分かった上で盛り上げるためにやっているんですよ? 本当ですよ、It's true! It's ture!

*4:まあ、彼もわかった上でやっていたはずですので、問題はないと思います……僕と一緒にグロネタをやりさえしなければw

*5:敵の解剖と、幼女の首絞めたのは、マジでやり過ぎでした……ゴメンナサイ

*6:表にHエルフとしか書かれていなかったので、Hとは何かという馬鹿な議論が発生w Hentaiとかいろいろな説が出る中、僕が主張するHigh speedエルフ(通常のエルフより変化が少ない)という事でみんな納得。他にもVエルフ(縦に曲がる)とかSエルフ(斜めに曲がる)とかがいるというエルフ=スライダー説が唱えられたw

TRPG学会ってどうだろ?

TRPGに関して語っているブログとか何とか最近いろいろ見ているんですけど、けっこう面白いものや、ためになるものがあって興味深いです。
だけど、それぞれがバラバラにやっているので、なかなか体系化されないのがもどかしい。経験論で乱暴に語るものや、定義や分類で遊んでいるだけに見えるものも見受けられるし、まあ結局、俺はこうなんです。で終わってしまっている物も少なくない……まあ、これはしょうがないことで、どれが正しいとか、どれが間違っているとか言い切れるものではないですから*1、逆に言い切られるほうが怖いですw
だから、TRPG論は「俺はこうだと思う」で終わらせておくのが華なんですが、例えそういうものでも、集めて並べてみると、何か見えるものがあるんでないかなとちょっと考えたりしてみました。
そうすれば、ある程度カテゴライズされてきて、体系みたいなものが見えてくるのではないかと。観点が近い論なら、それぞれの論をぶつけ合ううちに洗練されていくという事もあるでしょうし、定義論なんかはそれこそぶつけ合ってなんぼで、そのうちにある程度の学派というか、系統とかが生まれてくると面白い(それぞれの立脚点による定義の違いとかがはっきりすると、不毛な論争から脱却できるのかな?)。


そこでTRPG学会の設立ですよ。


まあ、さすがにまっとうな権威ある学問の学会というよりも、愛好家の集いと発表の場としての学会というカンジで、いろいろなTRPG論をカテゴライズしていき、集約・体系化する。そして、時には新たな分野*2を提案していく場としても利用できる……そんなものがあれば面白いだろうし、いろいろとそこから有益なものが生まれてくるんじゃないのかなぁ?と考えたりしてしまいます。
物理的にどこかにみんな集まっては難しいので、ネット上での展開にはなると思いますが、誰かこんなことやっているorやってくれる人はいませんかね(他力本願)?
実際に進めていくのにはいろいろな注意するべきことがある(下手に討論の場としてギスギスすることが無い様にとか、一方的なRPG観の押し付けにならないようにとか……)とは思いますが、基本的にはTRPG論の収集と体系化だけに特化して(それ以外をやると目的がぼやけそうなので)、最初はブログを回りながら面白そうなTRPG論を書いている人にお願いしたりしながら、いろいろな論文をストックしていって、そのうちに論点や系統が見えてきたりすれば良いかなと……。時々、掲示板かなんかみたいなカンジで質疑応答を期間限定で行なう場を設けても面白そうですね。


そんな妄想のようなことを、学会誌や論文集を読みながらもらもらと考えてしまった今日この頃です。

*1:TRPGはそれぞれの環境によって、同じシステムでも大きく違ってくるものなので、ある環境では通じるものも、他では通じないということがよくある

*2:例えばTRPG史をやるとしても、商業展開を中心とした歴史の他に、ユーザーの活動の歴史や、日米比較史、ある特定のデザイナーに焦点を当てた歴史、史料分析を重視したものなどがあるだろうし、コンベンションのマナーや著作権問題など(TRPG倫理学?)そういうテーマを扱うものも求められるでしょう

ウォーハンマーノベル

K_Issa2007-10-03

ウォーハンマーノベルの三部作が発売されて(東京に行っているうちに)買いにいったんですが、ホビージャパンライトノベルレーベルから出ていて、まあ注目の1作というわけですから、いろんな本屋に大量に*1平積みされていました。
内容は面白いと思うけど、ジャケット買いされる様なものではなさそうだし、分厚いし、これだけ刷ってちゃんとはけるのだろうかちょっと不安ですw
作りすぎたキャベツやファミコングラディウスみたいになって、これからの展開に悪影響が出ないか、それだけがちょっと気になりますね。


とりあえず、ジュヌヴィエーヴ可愛いよ(;´Д`)ハァハァ
そんだけです。

*1:一冊一冊が厚いから大量に見えたのかもしれないけど

ナイトメアハンター=ディープオンリーコンに参加

K_Issa2007-10-01

東京で開催された天文学園演劇研究部第弐回公演「ナイトメアハンター=ディープコンベンション 〜人生いたるところ悪夢あり〜」にGMとして参加してきました。
今回は7卓での開催で、雨の中、多くのお客さんが訪れてくれました。


他のGMさんたちはいろいろと有名な方が多く、ちょっと僕は場違いかなという考えが過ぎりもしましたが、GMとして卓を進行するなら、自分が出来る最善を尽くすのみ! というわけで、今回はメキシコというのを個人的なテーマにしていたので、メキシコバーのシーンでは(後ろに流れているモニターの映像という扱いで)パソコンでルチャの画像を流したり、メキシコ料理の写真の切り抜きをテーブルに並べたり、インディー団体“町那加プロレス”のチケットやウェブ百科事典のページを作ったり、夢の世界の背景説明としてのメキシコの風景の画像を用意したりと、雰囲気を出すための小道具をたくさん用意しておきました。


その効果があったのか、一所懸命にシーンを進行していったのが上手くいったのか、PLさんたちの想いと行動が功を為したのか、セッション自体は上手くいったといってよさそうなものとなりました。
一緒に物語を造り上げてくれたプレイヤーの皆さんありがとう。
今回の上京ではよい思い出を作ることができました。


セッション報告やNHDに対する考察は、札幌に戻ってから行おうと思います。
GMの皆さん、スタッフの皆さん、プレイヤーとしてコンベンションに参加した皆さんありがとうございました。また、どこかで出会えることを期待していますね。

帯広より

出張中なので、今週のプレビューは更新できないかもしれません。
出張だけならともかく、今週末に東京に行って、ナイトメアハンター=ディープオンリーコンベンションでGMしてくるので、その準備のためにもう、どうしようもない状態です。


しかも先週末は、土曜日には無限のファンタジアにPL参加して、セイレーンのグラップラーをやって、ボス戦で投げ技*1を出してみたらクリティカルして、とても強いボスを瞬殺してしまったりしてしまいましたし、日曜日はWHFRで『三枚羽亭のひどい一夜』のGMをして、まったりした良い時間を過ごしましたし……ま、遊んでいたので、いいわけにはなりませんがorz


とりあえず、NHDコンベンション終わったら、今度こそ、今度こそ、プレビューの定期更新と、セッションリポート執筆をちゃんとやっていこうと思います。
それまでは何とか、ご勘弁を。

*1:上級アビリティの改ver.だったので、リストクラッチバーニングハンマーとか言って

帝國の建国(前編)

 預言者ハーマンの入滅と同じ頃、“風の国”の南方にある川の下流で、一人の妖精シャウネーラ*1が川上から流されてくる駕籠……その中で静かに眠る人間の赤子を拾い上げた。
 彼女の友達は人間に関わるのは良くないことだと、シャウネーラにその赤子を再び川に流してしまうように勧めたが、彼女はその人間の赤子に愛着がわいたのか、エルフ独特の宿命論によるものか、単なる好奇心か、そのままその子を育ててみようとしてみた。
 しかし彼女は人間の子供をどう育てればよいのか知らなかったので、ちょうどそのころ子供を産んだ狼に乳母を頼み、自身は旅の中で見たさまざまな情景を弓琴にのせて子守唄として歌っていた*2


 それから15年後、立派に育ったその赤子は、シャウネーラの語る世界に興味を持ち、まず海というものを自分の目で見てみようと狼たちを連れて川に沿って下って行った。
 そこで彼は海賊に悩まされる村人に出会った。その頃の“風の国”と“火の国”の海峡には海賊が多く住み、漁師も交易商人も、とても頭を悩ませていた。
 彼は漁師に頼んで、狼たちを連れて船へと潜み、海賊が漁師たちから獲物を奪おうとしたときに逆に襲い掛かって、海賊たちを打ち倒し、手下とした。そして彼は海賊たちに自分をいろいろな国に連れて行ってくれと命じ、それから6年の間“風の国”“火の国”“億千の諸島”を巡りまわった。


 6年の後に故郷へと戻ってきた“ハイイロオオカミ*3”は葡萄の苗を持っていて、これを植えるのにちょうどいい土地は無いか探していた。
 シャウネーラが話す事には、近くにちょうどよさそうな丘があり、そこに移り住もうと思う者も多いが、その丘には多数のトロルが住んでおり、昼は岩の姿になって辺りに転がっているが、夜になると目覚めて近づくものに襲い掛かって喰らってしまうのだということである。
 ハイイロオオカミは昼間にその丘を覗いてみたが、確かに日を避ける為に岩となったトロルたちの姿がごろごろとある。しかし、その土地を気に入ってしまった彼は近くに住む人々に、あの土地を手に入れるために手伝ってくれるように頼んだ。
 しかし人々は昼間は重くて硬い岩となり、夜中は怪力で凶暴になるトロルを相手にすることは出来ない、そんなことを考えるのは愚か者だけだと言って、ハイイロオオカミの言葉に取り合おうとしなかった。
 怒ったハイイロオオカミは狼と海賊を連れて夜中にトロルに襲い掛かったが、トロルの怪力と厚い皮に敵うはずも無く、ほうほうの体で逃げ出そうとしたが、あわやというところで日の出の光を浴びたトロルが岩へと変化して、一命を取り留めた。


 手下の半数を失ったハイイロオオカミはシャウネーラのもとに帰ったが、そこで彼女に「力で敵わぬなら知恵で、ひとりで敵わぬなら助けてくれる人を探しなさい」と諭された。
 そして、彼は旅の中で名を聞いたドワーフに協力を求めようと、北方にある山脈へと脚を伸ばした。そのドワーフは石工として有名で、ハイイロオオカミの話を興味深く聞いていたが、友として協力するにはわしに酒で勝ってみろと飲み比べを持ちかけた。
 ハイイロオオカミも酒には自信があるが、酒豪のドワーフには敵いそうに無い。
 そこでハイイロオオカミはワインの飲み比べをもちかけ、自分は水で薄めたワインを、ドワーフには火の国を旅しているときにジンに貰った焼きワイン*4を飲ませ、ついにはドワーフを酒で潰してみせた。
 事情を知らぬドワーフは負けを認め、ハイイロオオカミに友として協力することを誓った。それに対してハイイロオオカミも、トロルを排除してあの丘に葡萄の苗を植えて、何時の日かワインが醸造できるようになったら、毎年ドワーフに3樽与えようと約束した。


 ハイイロオオカミドワーフはまず最初に海から丘へと繋がる道を作り上げた。
 次に馬で牽いて運ぶ台車を多数作り上げた。
 最後に棒と石をもって、重いトロルを台車にのせて、日暮れが来る前に海岸に運び、崖から海の底へと投げ捨てた。
 その丘にはドワーフが残り*5、トロルが夜になって起き出して仲間がいない事に気づいたなら、「やつなら少し早く起きて日の光を浴びてしまったので、のどが乾いたと言って水を飲みに行ったよ」と言って、単純なトロルたちを騙していた。
 その様子を見た近隣の人々はハイイロオオカミに謝って、協力する代わりにあの丘に住んでもいいかとたずねた。ハイイロオオカミは昔のことは水に流して、共に協力してトロルを追い出し、共に葡萄を植え、共に町を作ろうと約束した。


 その後、近隣の人々の協力を得たハイイロオオカミは6日かけて全てのトロルを丘から運び出し、海の底へと投げ捨てた。
 人の良い(間抜けな)トロルたちが全てに気づいたのは海の底に沈んでから。
 彼らはしょうがないとあきらめて、岩となって水が引く時を待ち続ける事にした。


 そしてその丘にブドウ畑と小さな町が作られた。その後、畑と町は広がっていき、ハイイロオオカミを慕って集まるものもますます多くなっていった。
 ハイイロオオカミはそこで妻を取り、子供を作り、そして、老いて死んでいった。
 死の床で、ハイイロオオカミはシャウネーラに、わたしの母であってくれた様に、子供たちと、住民たちと、この町を温かく見守っていて欲しいと頼んだ。
 シャウネーラはその言葉に肯き、彼の死を送ったあと、この町の妖精となった*6
 そののち、ハイイロオオカミの造り上げた街はその母である妖精の名から“シャウン”と呼ばれるようになったという。
(後編に続く)

*1:風の国”南部を放浪していたエルフで、夢狩りであるという説もある。

*2:その歌は今でも帝都シャウンに伝わっており、母親は子供たちに建国の祖のような立派な人物になるように思いを込めて、歌って聴かせている。

*3:もしくは灰色狼の王。狼を連れて歩く彼のことを、皆はこのように呼び、彼もその名を気に入って自分でもそう称した。

*4:いわゆるブランデー。

*5:トロルは同じ山岳の種族であるドワーフを仲間だと思って喰らわない……というよりも、金属の妖精で筋張っているドワーフは食用に適さないと思っているらしい。

*6:エルフは何らかのもの(例えば大樹や泉など)と命を同調して、その“モノ”の妖精となることができる

 久々にプレビュー更新です。
 毎週月曜と木曜辺りに更新したいな(ちょっと前後するかもしれないけど)!


 けど、来週はNHDコンベンションに向けてうじうじ悩んでいる様子を書き連ねてしまいそう。
 まあ、何とか頑張っていきますんでよろしくお願いします(早めに帝國篇ホームページ立ち上げんとなぁ……というわけで、ホームページ制作を今更ながら勉強中です)。