やりたい事とサークル運営

最近一年間で最も大きなイベントである新入生勧誘活動と大学祭コンベンション(僕はこの学生サークルのOBとして軒先を貸してもらっているような立場でなのです)の準備で後輩たちが煮詰まっており、いろいろと僕に相談や愚痴をぶつけてくる事が多くなっています。


その中で「僕はTRPGをやる為に入ってきたのであって、運営する為に入ってきたわけじゃない」みたいな発言をする人が、特に若い人間に多いけどでてくるわけで。
それに対して僕は「まあ、とりあえずやってかないと事は進まないから、無理しない程度に頑張って、上手く負担にならないやり方を考えていきなよ」というような感じで、お茶を濁しているわけなんですが……正直なところ言うと、


お前ら甘えるんじゃない!


という気分です。
まあ、気持ちはわからないでもないですが、好きな事だけをしたいというのが通る程、彼らはもう子供ではないわけで、もう自分で自分の居場所をつくり、護らなければ楽しみを享受する事が出来ない、そんな立場になっている事を理解してもらいたい、そう思います。
いつまでも、誰かの庇護下にいて好きな事をしていけるわけではなく、自分がやりたい事をする為にはそれだけの事をしていかなくてはならない、彼らはそんな状況にはじめて(意識的に)ぶつかったのでしょう。


一見、今やっている事が無意味に思える事もあるでしょう。
しかし、それは直接的に繋がって見えないだけであり、その居場所を維持する為に、環境の澱みをなくす為に、またそのメンバーを一人前に鍛え上げる為に必要であったりすることなので、それを否定すると、そのサークルは成り立たなくなってしまいます*1
意外と、無駄だと思われる事のその過程に、意味があるのです。


また、こんなふうに不満を言う若い人は、たいてい(2年目とかに多いですが)当事者意識をもっていないものです。
自分がやりたいからやっているわけではなく、作業が割り振られたからこなしている。こうやって面白くしようと考える事無く、このイベントはこうやるものだから、そういうふうに作業を進める。
そんなふうな発想でやっていたら、何事も面白くないのは当然です。
特に今の若い人は何事も枠にはめてしまいがちです(自分も、他人も、サークルも、イベントも)。自分たちの目的の為にふさわしい形をとるのではなく、あるべき形をとる為に作業をこなしていく。伝統芸能ならまだしも、サークル運営でそれは無いでしょうw
試行錯誤のもとにいろいろぶつけあって、みんなが想像した以上のものが出来るというのが、こういうイベントの醍醐味なのに。
まあ、何か問題があった時に、教えてもらわなかったからどうこうと、そんな言い訳をする人は当事者意識が育っていないものだと思って、まず間違いないです。


まあ、こんなふうに子供じみた甘え、意義の喪失、当事者意識の欠如の為に、若手の行なう運営が迷走してしまう事はよくある事だといえます*2
しかし、それはある程度しょうがない事でしょう。
彼らの多くはここではじめて、このような問題に正面からぶつかったのです。これを乗り越えるのが大人になる為の現代のイニシエーションであると言っても、良いかもしれません。
さて、ここで僕たちがすべき事は何なのでしょうか?


答えは多分、話す事です。
頭ごなしにではなく、根気よく、質問や意見を聞きながら、そのイベントをやる事の意義や面白さ、自分たちがどう悩みどう乗り越えていったのかのエピソード、それらを自分たちで噛み締め、確かめながら語っていく事です。
ただ、相手は自分とは違う人間だから、すんなりとは受け入れてもらえない事も多いでしょう*3。しかし、それでも一緒に答えを探すようにしながら、語り合うべきです。
本当のコミュニケーションは他人との違いを確かめあい、それを乗り越えられる立脚点を見つけ出す事なのですから。
そしてそれが出来たなら、若い人たちも、その先輩たちも、それぞれ新しいステップへ登る事が出来るでしょう*4


さて、こんなカンジで愚痴と説教をぶつけましたが、若い人には向上心と聞く耳を、上の人には若い人にちゃんと向き合う度量とコミュニケーションをする努力を、持っていただきたいものですね。
そんな自戒も込めた雑文でした。


ああ、あと追記で。
こんなふうに企画運営で、そんなプレッシャーも無く、好き勝手やれて、失敗してもそんな多大な金銭の損失も無いなんて、そんな事が出来るのは学生サークルのうちだけだから。
社会勉強だと思って、頑張りなさい。
社会人になって、はじめてそんな事に携わるとなると苦労するよ。
そんな言葉を若い人たちに贈っておきます。

*1:サークルなどでマニュアル化だとか効率化を掲げて、その過程で大事なノウハウを失って、数年後にまた一から構築し直していく光景は、よく見られるものなのです

*2:もしかしたら、これは最近の若者の気質なのかも知れません……って、年寄り臭い言説ですね、これはorz

*3:そんな人の方が、表面上だけ頷きながら、その言葉の本当の意味を考える事も無く、ただ流していくような人よりも、はるかに素晴らしいのです

*4:人に教えることが出来て、やっと一人前という言葉は真実ですからね。教えるのとともに学んでいくのです、何事も